心にうつりゆく由なしごと

漫画感想『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』

『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』のネタバレを含みます。

ネタバレは私の体液でじっくりコトコト煮込まれています。ですので、お腹を壊す心配は……、ありますね。お気をつけて。

 

『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』

元警察官の作者が書いたお仕事漫画。

散らばったブラックジョークからシュールギャグまで、一つ一つが面白い。どこまでがリアルなのやら。というか、愚痴がリアル過ぎる。もはや、身体が作者の愚痴を求めてページをめくる。

 

活躍するようなシーンを見ると、逆に不安を覚える。まぁ、古今東西あらゆる警察作品よろしく、しっかりとカッコいいシーンは存在する。

ただ、基本的にカッコ良さの種類が違う。

銃撃戦があるわけじゃないが、犯人に向き合う。殺人犯の心を読み解くわけではないが、性犯罪者に笑顔を向ける。

 

例えば、殺人事件の謎を解き明かし、華麗に犯人を追い詰めるドラマのワンシーン。

謎を解き明かし? 泥臭さが数十倍は違う。

一般的な警察作品は、変身できない仮面ライダーや戦隊ヒーローのようなカッコ良さがある。それに対して、仕事人的なカッコ良さだ(源部長除く)。

 

地元のお祭りで観光客が路駐して車道を塞ぐせいで家から出られなくなる事を、今年は警察に事前相談しに行こうと思っていたけど、この作品を読んでいると、本当に相談して良いのか不安になるレベルで忙しそう。

地方なら違うんかな。

 

「こんなに激務で嫌われ者と知ってたら、絶対 警察官なんてなってない!」

理不尽に溢れる職場。主人公新米女性警察官・川合の後悔から、この漫画は始まる。それでいいのか。

彼女が組織に順応せざるを得ない姿は、涙を誘う(比喩表現)。

何の志もなく、川合は警察になった。そのせいか、負の部分ばかり見て、苦しんでいた(この先、警察という職業の正の部分が描かれる方が稀)。

 

後に何度も後悔することになると語られる藤部長との出会いが先の彼女を変えていく。

 

辞める事を考えていた川合は、藤部長とのペアによって成長し、時に後悔すれど警察官として生きていく、そんな話なんだろう。

ルールを守らなければいけない理由はすごくしっくりきた。

 

「うわ…これが大麻臭…くさ…苦手…」

確実に元本職じゃなきゃ描けない台詞。多分この話が出る話が一番好き。次点は合コン回のオチ。

 

上手く語れないけど、リアルな感情が面白い。

そんな感じ。誰かに布教したい。

警察に文句を言うタイプの人に読ませてみたい。多分、2:8くらいで態度変んない気がするけど。