夏葉と目指すSランクへの道_その10
それは、2日前のこと。
来たぞ……。ここまで……!!
ファン数100万人達成!
弊プロダクション、初のSランクアイドル誕生の瞬間である。
初のAランクは甘奈だった。
では、Sランクは……?
夏葉、19周目
まぁ、コンセプト的にも夏葉なんですけど。
順を追っていこう。
最初にこれは、とほくそ笑んだのはシーズン2の終了時のことだった。
ステータスはVo85, Da246, Vi363, Me170そこそこ。
そこからMeを最低限調整したり、Viを550まで強化したり、オーディションをクリアしたりともじゃもじゃ。シーズン3でファン10万人を達成。Vi流行3位の時にThe Legendを突破したりして、ここにたどり着いた。
残り4週の時点でファン50万人達成!
この時点で、私は拳を握った。
目押しミスさえしなければ、勝てる! と心の声が騒めく。七彩メモリーズ待ってろよっ!
待って。七彩メモリーズ強くない?
NPCの不一致アピールが1万越えってどう言うことなの。一致アピールに至っては2万超えましたけど……。
え、お前そんなに強かったの?
なんとかなるだろうと思っていた、オーディションが思った以上に鬼門だった。
感覚でゲームやっているから、実際の数値を見るとビックリするのよね。
なんにせよ、この週のオーディションは勝った。流行2位狙いでなんとか2位以内入賞。
ここで、あまり意識していなかった流行一致してなきゃ話にならないのでは? と恐怖を覚えた。Vo型が1位連続アピールしている現状。ただ恐怖だ。もしかしたら、不一致でも2位狙いならギリギリ突破できるのではと言う考えは、その時には浮かばない。無難に流行1位、2位狙いで行こうと考えた。
そして、残り3週。
あんまりだッ!!!
イジメかな。
その3週は必死にThe Legendで流行2位狙い。2位、2位、2位!
とりあえず、550あればThe Legendの2位集中狙いとも戦える。
、
そうして、達成だ。
ここまで来たよ、あとは優勝して締めたい。
準備はいいか?
……、神は、乗り越えられる試練しか与えない。そうだよ。そうなんだよ。
流行1位ならば勝ちが9割確定していた。楽に勝たせてはくれない。
準備はいいか、と夏葉に私は聞く。そして、自分自身に問いかける。
準決勝の時点で頭を抱えた。なんとか、なった。決勝。流行1位がVo以外ならば、勝てると、祈った。VoDaVi。今週は運がないらしい。
W.I.N.G決勝でこの流行順の時、私の勝率は大方2割を切る。
神は乗り越えられる試練しか与えないと、目を瞑る。息を吐く。スマホを落としかける。手から零れ落ちるより先に持ち直す。画面を触ってしまいオーディション開始。待てや。
あろうかとか、記念すべき決勝は、こうしてはじまった。
始まってしまった。
夏葉と目指すSランクへの道。
最後に立ちはだかる難敵は、Vo特化1位集中アピールのアイドルC。
ダンベルの化身。
有栖川夏葉の影。
賽は投げられた。
最後はあっけないものだ。敗因は判断ミス。思い出アピールは使うべきではなかった。このターンを凌ぎきり、次のターン。次のターンで使うべきだった。
優勝はできなかった。Sランクは取った。別にSランクの状態で優勝したからって、なんの自慢にもならない。
けれど、
悔しさが残った。
次のcccRYは、きっと上手くやってくれるでしょう。
ごめんね、夏葉。
おまけ!
遺書みたいなラストになってしまった。
なんだこれ。私は生きています。はい。
決勝敗退とはいえ、Sランクを達成したので達成報酬のSSR確定チケットを貰った。せっかくなので引いた。
Sランク優勝まで引かないのが筋? 知らんな。
樹里ちゃん。